医療費控除をe-Taxで申告する手順【2026年最新・マイナンバー対応】

医療費控除をe-Taxで申告する手順【2026年最新・マイナンバー対応】 医療費控除

医療費控除の申告は、わざわざ税務署に出向かなくても、自宅のパソコンやスマートフォンで完結できます。それがe-Taxです。「難しそう」「紙の方が安心」と感じている方も多いかもしれませんが、実際には紙での申告より書類が少なく、還付金の振込も早い傾向があります。

本記事では、会社員・年金受給者の方を中心に、マイナンバーカードを使ったe-Tax申告の具体的な手順を、準備段階から送信完了・還付確認まで丁寧に解説します。2026年の申告(2025年分)に対応した最新情報をもとに、初めての方でも迷わず進めることができるよう構成しました。医療費控除は申告しなければ還付されない制度であり、数千円から数万円の還付を受け取れるケースが多く、申告の手間に対して十分なメリットがあります。

医療費控除をe-Taxで申告する3つのメリット

申告方法 e-Tax 紙申告
申告場所 自宅のPC・スマートフォン 税務署窓口または郵送
必要書類数 少ない(デジタル添付) 多い(紙での提出)
還付金振込 3週間~1ヶ月程度 1ヶ月~1ヶ月半程度
本人確認 マイナンバーカード 身分証明書等
受付時間 24時間(休止時間あり) 税務署営業時間のみ

まず「なぜe-Taxを使うべきか」を明確にしておきましょう。紙申告と比較したときに、e-Taxには実務的なメリットが3点あります。

紙申告との違い一覧表

比較項目 e-Tax申告 紙申告(窓口・郵送)
提出場所 自宅のPCまたはスマホ 税務署の窓口または郵送
医療費の領収書 提出不要(5年間自宅保存) 提出不要(2017年改正以降)
医療費通知書 イメージデータをPDF送信 原本添付
源泉徴収票 添付不要(記載内容を入力) 原本添付
還付金の振込目安 申告から約3週間 申告から約1〜2か月
受付時間 24時間365日(メンテナンス除く) 開庁時間内のみ
申告書の控え保管 PDFとしてダウンロード保存可 紙で保管

最も大きな違いは還付のスピード添付書類の削減です。e-Taxでは源泉徴収票の添付が不要になり、医療費の領収書も提出せずに5年間自宅保存するだけで済みます。

スマホだけで完結できる申告方法

2024年以降、スマートフォンでのe-Tax申告が大幅に使いやすくなっています。マイナンバーカードのICチップをスマホで読み取ることで、ICカードリーダーを別途購入する必要がなくなりました。

スマホ申告の対応機種はiOS・Androidともに主要機種が対応しており、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスするだけで利用できます。特にiPhoneはNFC機能を内蔵しているため、マイナンバーカードをかざすだけで認証が完了します。

申告前に確認すること

e-Taxで申告を始める前に、自分が申告対象かどうか、また控除額がいくらになるかを把握しておきましょう。

医療費控除の基本的な計算式

医療費控除額 = 支払った医療費の合計
             - 保険金などで補填された金額
             - 10万円(※)

※総所得金額が200万円未満の場合は「総所得金額 × 5%」

計算例:給与収入400万円・医療費18万円・保険金受取なしの場合

  • 総所得金額:約306万円(給与所得控除後)
  • 差し引く額:10万円(200万円以上のため)
  • 医療費控除額:18万円 − 10万円 = 8万円
  • 還付される税額の目安:8万円 × 所得税率(20%)= 約1万6,000円

(住民税の還付は翌年6月の住民税額から差し引かれます)

総所得金額が200万円未満の方は、10万円ではなく「総所得金額 × 5%」を差し引くため、少ない医療費でも控除を受けられる場合があります。

医療費控除の対象となる費用の範囲

控除の対象となるのは「自分と生計を一にする配偶者・親族」のために支払った医療費です。同居していなくても、仕送りをしている親の医療費も合算できます。

控除対象となる主な医療費

種類 具体例
診察・治療費 医師の診療費、歯科治療、不妊治療、緊急手術費
処方薬代 医師の処方箋に基づく医療用医薬品
入院費用 入院料、手術費(差額ベッド代の自己負担分も含む場合あり)
通院交通費 公共交通機関の交通費(バス・電車・やむを得ない場合のタクシー)
施術費 医師の指示によるあん摩・マッサージ・鍼灸
出産費用 分娩費用(出産育児一時金を差し引いた自己負担額)

控除対象外となる主な費用

種類 理由
美容整形・審美歯科 医学的必要性なし
健康診断・人間ドック 疾病の「治療」でない(異常が見つかり続けて治療した場合は対象)
ドラッグストアの市販薬 医師処方でない(セルフメディケーション税制は別途)
自家用車のガソリン代 公共交通機関の費用のみ対象
サプリメント・栄養ドリンク 医薬品でない
健康保険料・医療保険料 別の控除制度(社会保険料控除・生命保険料控除)の対象

申告に必要なものを揃える

e-Taxでの申告には、事前に以下のものを準備します。

必須アイテム一覧

本人確認・認証関連

  • マイナンバーカード(表面・裏面)
  • 利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)
  • 署名用電子証明書の暗証番号(英数字6〜16桁)
  • マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンまたはICカードリーダー

所得・源泉徴収関連

  • 源泉徴収票(会社員・年金受給者の場合)
  • e-Taxでは添付不要ですが、記載内容を入力するため手元に用意
  • マイナポータル連携を利用する場合:2025年以降は勤務先の源泉徴収情報を自動取得できる場合があります(対応企業に限る)

医療費関連書類

書類名 入手先 e-Taxでの扱い
医療費通知書(医療費のお知らせ) 健康保険組合・協会けんぽから郵送 イメージデータ(PDF)として送信可
医療費の領収書 病院・薬局で受け取り 提出不要・5年間自宅保存
医療費集計フォーム(Excel) 国税庁HPからダウンロード 領収書を集計して入力

金融機関情報

  • 還付金を受け取る銀行口座の情報(金融機関名・支店名・口座番号)

e-Taxで医療費控除を申告する具体的な手順

それでは実際の申告手順を、ステップごとに解説します。

ステップ1:マイナポータルアプリのインストールと設定

スマートフォンで申告する場合は、まず「マイナポータル」アプリをインストールします。

  1. App StoreまたはGoogle Playで「マイナポータル」を検索してインストール
  2. アプリを起動し、「マイナンバーカードを読み取る」を選択
  3. マイナンバーカードをスマートフォンの背面にかざし、利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁) を入力
  4. 読み取りが完了したら、マイナポータルへのログインが完了

PCで申告する場合は、ブラウザから「確定申告書等作成コーナー」(国税庁公式)にアクセスし、マイナンバーカードの読み取りにスマートフォンまたはICカードリーダーを使用します。

ポイント:PCとスマホを組み合わせる「QRコード連携」も可能です。PC画面に表示されたQRコードをスマホで読み取り、スマホでマイナンバーカードを認証してPCの操作を続けることができます。

ステップ2:確定申告書等作成コーナーにアクセス

  1. 国税庁の確定申告書等作成コーナー(https://www.keisan.nta.go.jp)にアクセス
  2. 「作成開始」をクリック
  3. 提出方法の選択で「e-Taxで提出する」を選択
  4. マイナンバーカードを利用した認証方法を選択し、カードを読み取る

認証が完了すると、氏名・住所・マイナンバーなどの基本情報が自動的に読み込まれます。

ステップ3:申告書の種類と所得の入力

  1. 申告書の種類として「確定申告書」を選択
  2. 生年月日・住所・電話番号を確認・修正
  3. 「給与所得」の入力画面で源泉徴収票の内容を入力
  4. 支払金額
  5. 給与所得控除後の金額
  6. 所得控除の額の合計額
  7. 源泉徴収税額

マイナポータル連携を使う場合:対応している勤務先・健康保険組合の情報であれば、源泉徴収票や医療費通知書のデータを自動取得できます。「マイナポータル連携する」ボタンから連携設定を行ってください。

ステップ4:医療費控除の入力

  1. 所得控除の入力画面で「医療費控除」を選択
  2. 医療費の入力方法を選択します

方法A:医療費通知書(医療費のお知らせ)を使う方法
– 健康保険組合から届いた医療費通知書のデータをそのまま入力
– 通知書に記載されていない期間の医療費は別途入力
– 医療費通知書のPDFや画像データがある場合は「イメージデータ」として添付送信

方法B:医療費集計フォームを使う方法
– 国税庁HPからExcel形式の「医療費集計フォーム」をダウンロード
– 領収書を見ながら1件ずつ入力(医療機関名・支払金額・補填金額など)
– 完成したフォームをシステムに取り込む

医療費の入力項目

入力項目 内容
医療費を支払った人 申告者本人または生計を一にする親族
医療費を支払った相手 病院名・薬局名など
支払った医療費の合計額 年間の合計
保険金などで補填された金額 生命保険・医療保険の給付金、高額療養費など
  1. 入力が完了すると、控除額が自動計算されます
  2. 還付金の概算額も画面で確認できます

ステップ5:添付書類の送信(イメージデータ)

e-Taxでは、医療費通知書などの書類をPDFや画像(JPEG・PNG)として送信できます。

送信できる書類のファイル要件

項目 条件
ファイル形式 PDF、JPEG、PNG
ファイルサイズ 1ファイルあたり最大8MB
合計ファイルサイズ 申告ソフトの仕様に従う
解像度 内容が判読できる解像度

送信手順

  1. 添付書類の入力画面で「ファイルを選択」をクリック
  2. 準備したPDFまたは画像ファイルを選択
  3. プレビューで内容を確認
  4. 「追加」ボタンでリストに追加

注意:医療費の領収書そのものは送信不要です。領収書は自宅で5年間保存してください。税務署から確認を求められた際に提示できるよう整理して保管しましょう。

ステップ6:税額の確認と送信

  1. 入力内容の確認画面で、控除額・納税額(または還付額)を確認
  2. 還付を受け取る銀行口座情報を入力
  3. 金融機関名・支店名・口座種別・口座番号
  4. 「署名して送信」ボタンをクリック
  5. 署名用電子証明書の暗証番号(英数字6〜16桁) を入力してマイナンバーカードを再度読み取り
  6. 送信完了の画面が表示されたら申告完了

送信後は「受信通知」が発行されます。これが申告の受付証明になるため、PDFとして保存またはスクリーンショットを残しておきましょう。

申告後の確認と還付金の受け取り

還付金が振り込まれるまでの流れ

タイミング 内容
申告書送信直後 受信通知を受け取る(e-Taxメッセージボックスで確認)
送信から約1〜3週間 税務署での処理完了(e-Taxは紙申告より処理が早い)
処理完了後 「還付金の支払通知書」がマイナポータルまたは郵送で届く
通知から約1週間以内 指定口座に還付金が振り込まれる

還付申告(1月1日から提出可能)を確定申告期間(2月16日〜3月15日)より早く出すと、税務署の混雑が少なく処理が早まる傾向があります。会社員で追加納税がなく還付のみを受ける場合は、1月中の早期申告がおすすめです。

申告状況の確認方法

  1. マイナポータルにログイン
  2. 「e-Taxのメッセージボックス」を確認
  3. 「還付金の支払通知書」が届いていれば処理完了

e-Taxのメッセージボックスの確認には、利用者識別番号またはマイナンバーカードが必要です。

申告でよくあるつまずきポイントと解決法

医療費集計フォームと医療費通知書の使い分け

医療費通知書は健康保険から発行されますが、12月分の医療費が翌年1月以降に記載される場合があります。通知書に記載されていない医療費は、医療費集計フォームに別途入力して合算してください。

また、医療費通知書には歯科・自費診療が含まれないケースもあります。領収書と照合して漏れがないか確認しましょう。

保険金で補填された金額の扱い

医療保険の入院給付金や、健康保険の高額療養費は「補填された金額」として控除額から差し引く必要があります。ただし、補填された金額は対応する医療費の金額を上限とします。ある入院で10万円の医療費に対して15万円の給付金を受け取っても、他の医療費から差し引くことはできません。

5年間の遡及申告

医療費控除は過去5年分について遡って申告できます(還付申告)。2020年分であれば2025年12月31日まで申告可能です。「去年申告を忘れた」という場合でも諦めずに申告しましょう。

セルフメディケーション税制との選択

医療費控除とセルフメディケーション税制(特定の市販薬の購入費が12,000円を超えた場合に適用)は、同じ年に両方を使うことはできません。どちらが有利かを計算してから選択してください。年間の市販薬購入が多い方はセルフメディケーション税制が有利になる場合があります。

年金受給者・共働き夫婦が注意すべきポイント

年金受給者の場合

年金受給者も確定申告で医療費控除を受けることができます。源泉徴収票は「公的年金等の源泉徴収票」を使用します。年金収入のみで確定申告が不要な方も、医療費控除を受けるためだけに還付申告を提出することができます。

共働き夫婦の医療費をまとめる場合

共働き夫婦の場合、どちらの名義で申告するかによって還付金額が変わります。所得税率が高い方(収入が多い方)の名義で申告する方が還付額が大きくなります。家族全員の医療費を所得の高い方が申告者としてまとめて申告できます(生計を一にしていることが条件)。

よくある質問

Q1. マイナンバーカードを持っていない場合、e-Taxで申告できますか?

マイナンバーカードがない場合でも、「ID・パスワード方式」でe-Tax申告は可能です。税務署の窓口に本人確認書類を持参して「ID・パスワード方式の届出完了通知」を取得すれば、マイナンバーカードなしでe-Taxを利用できます。ただし、将来的にはマイナンバーカード方式への移行が推奨されています。

Q2. 確定申告書等作成コーナーの「スマホ申告」と「PC申告」の違いは何ですか?

基本的な申告内容は同じです。スマホ申告では画面が縦スクロール形式に最適化されており、マイナンバーカードの読み取りもスマホ単体で完結します。PCの場合は入力項目が一覧表示されるため、入力量が多い場合はPCの方が確認しやすいケースもあります。

Q3. 医療費通知書が届いていない場合はどうすればよいですか?

健康保険組合または協会けんぽに連絡して再発行を依頼するか、領収書を使った「医療費集計フォーム」による入力に切り替えます。通知書がなくても申告は問題なく行えます。

Q4. e-Taxで送信した後に入力ミスに気づいた場合はどうすればよいですか?

申告期限内であれば「訂正申告」、申告期限後であれば「更正の請求」を提出することで修正できます。いずれもe-Taxから再度提出可能です。還付金が少なすぎた場合は更正の請求(期限から5年以内)、納めるべき税額が少なすぎた場合は修正申告が必要です。

Q5. 医療費の領収書は申告後どのくらい保存すればよいですか?

申告した年から5年間の保存が義務づけられています。税務署から領収書の提示を求められた場合に対応できるよう、年ごとにまとめて封筒などに保管してください。スキャンしたデジタルデータとして保存しておくと管理が楽になります。

Q6. 申告書を送信したのに受信通知が届かない場合は?

e-Taxのメッセージボックスにログインして確認します。送信から数時間経っても通知が届かない場合は、送信が正常に完了していない可能性があります。国税庁のe-Taxヘルプデスク(0570-015-901)に問い合わせてください。

まとめ:e-Taxで医療費控除申告を完結させるポイント

e-Taxでの医療費控除申告を成功させるための重要ポイントを整理します。

チェック項目 内容
✅ マイナンバーカードと暗証番号 4桁と6〜16桁の2種類を確認
✅ 源泉徴収票の手元確認 添付不要だが入力に必要
✅ 医療費の集計 通知書+領収書で漏れなく合算
✅ 保険金の補填額を差し引く 高額療養費・給付金を忘れずに
✅ 還付口座の確認 申告者名義の口座を準備
✅ 送信後の受信通知を保存 メッセージボックスまたはスクリーンショット
✅ 領収書を5年間保存 提出不要だが保管義務あり

医療費控除は、申告しなければ一切還付されない「申告してはじめてもらえる制度」です。数千円から数万円の還付を受け取れるケースも多く、申告の手間に対して十分なメリットがあります。

e-Taxを使えば自宅から30〜60分程度で申告が完了し、約3週間後には還付金が振り込まれます。まだ申告していない過去分も最大5年さかのぼって請求できるため、今からでも遅くはありません。マイナンバーカードとスマートフォンを手元に用意して、ぜひ今年の申告にチャレンジしてみてください。

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