非自発的失業者の高額療養費の所得区分|国保で給与所得を30/100にして判定する特例と、いつまで続くか

高額療養費制度

国民健康保険の高額療養費の所得区分は、前年(または前々年)の所得で判定されます。会社を解雇されて国保に入った人は、在職中の給与所得で区分が決まり、自己負担限度額が重くなることがあります。

これを和らげるのが、倒産・解雇などで離職した人(非自発的失業者)の給与所得を30/100として区分を判定する特例です。この記事は、市町村の国保窓口と、患者の相談を受ける医療機関の医療ソーシャルワーカー・医事課に向けて、対象と期間を整理したものです。

対象になる人

雇用保険の次のどちらかとして、失業給付を受ける人です。

区分 例(厚生労働省の資料)
特定受給資格者 倒産・解雇などにより離職した人
特定理由離職者 雇い止めや、疾病等の正当な理由のある自己都合により離職した人

判定のしかた

  • 区分の判定に使う前年所得に給与所得が含まれる場合、その給与所得を30/100にしたうえで区分を判定します
  • 給与所得以外の所得(事業所得など)は特例の対象外です
  • 特例がかかるのは高額療養費と高額介護合算療養費の区分です
  • 「前年所得」は、月ごとの高額療養費では療養のあった月が、年間の高額療養費等では基準日が、1月〜7月の場合は前々年の所得になります

いつからいつまでか

離職日の翌日の属する月の翌月(離職日の翌日が1日の場合は、離職した月の翌月)から、離職日の翌日の属する月の属する年度の翌年度末後の最初の7月31日までです。申請が遅れた場合でも、さかのぼって適用されます。

厚生労働省の資料の例(離職日の翌日がN年4月15日の場合)を表にすると次のとおりです。

期間 区分の判定に使う所得
N年5月〜7月 N−2年の所得(給与所得×30/100)
N年8月〜N+1年7月 N−1年の所得(給与所得×30/100)
N+1年8月〜N+2年7月 N年の所得(給与所得×30/100)
N+2年8月〜 N+1年の所得(特例の対象外)

保険料(税)の軽減とは期間が違う

同じ非自発的失業者には、国民健康保険料(税)の軽減もあります。こちらは前年の給与所得を30/100とみなして保険料を算定し、期間は離職の翌日から翌年度末までです(2010年の厚生労働省リーフレット)。軽減を受けるには申請が必要で、国保に加入中は途中で就職しても続きますが、会社の健康保険に入るなど国保を抜けると終わります。

高額療養費の区分の特例は、上のとおり翌年度末後の最初の7月31日までで、保険料の軽減より長く続きます。窓口では「保険料の軽減が終わった=区分の特例も終わった」と案内しないよう注意が必要です。

窓口でやること

  1. 国保加入の手続きのとき、離職の理由を確認し、対象になりそうな人には特例と申請を案内する
  2. ハローワークで交付された書類で、特定受給資格者・特定理由離職者に当たるかを確認する(どの書類で確認するかは市町村の案内に従う)
  3. すでに高額療養費の区分が決まっている月も、特例はさかのぼって適用されるので、区分の見直しが必要か確認する

医療機関で相談を受けたとき

「会社を辞めて国保に入ったら、限度額が在職中より高い区分になった」という相談は、この特例の対象かもしれません。医療機関の側では区分を判定できないので、離職の理由(倒産・解雇・雇い止めなど)と、失業給付を受けているかを聞いたうえで、住所地の市町村の国保窓口に相談するよう案内します。特例はさかのぼって適用されるので、すでに払った月の分も見直しの対象になり得ます。

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よくある質問

任意継続を選んだ人にも、この特例はありますか

厚生労働省の資料が説明しているのは、失業して国民健康保険に加入した場合の区分判定です。任意継続など国保以外の制度の扱いは、その保険者に確認してください。

自己都合で辞めた人は対象外ですか

原則は対象外ですが、疾病等の正当な理由のある自己都合離職で特定理由離職者として失業給付を受ける人は対象になります。

2026年8月の見直しで特例は変わりましたか

2026年に公表された厚生労働省の「高額療養費制度に関する参考資料」にも、この判定方法が掲載されています。区分の額そのものは2026年8月・2027年8月に見直されているので、最新の限度額表で確認してください。

区分の見直しを含む2026年8月改正の全体は高額療養費の「年間上限」(2026年8月新設)で整理しています。

取り扱いは加入している保険者(協会けんぽ・健康保険組合・市町村国保・後期高齢者医療広域連合など)によって異なる場合があります。実際の手続きは、各保険者の窓口で最新の取り扱いをご確認ください。

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