「高額療養費の申請書をダウンロードしたい」と検索して出てくるのは、たいてい協会けんぽの様式です。しかし自分の会社が協会けんぽとは限りません。様式を間違えて出すと、そのまま返ってきます。
この記事では、加入先の見分け方と、どこから様式を取るかを整理します。
まず、自社がどこに加入しているかを見分ける
保険証(またはマイナポータルの資格情報)の保険者名を見てください。
| 保険者名の表記 | 加入先 | 様式の入手先 |
|---|---|---|
| 全国健康保険協会 ◯◯支部 | 協会けんぽ | 協会けんぽのサイト(全国共通の様式) |
| ◯◯健康保険組合 | 健康保険組合 | その組合のサイト。組合ごとに様式が違う |
| ◯◯市/◯◯町など自治体名 | 国民健康保険 | その市区町村。多くは対象者に通知が届く |
| ◯◯県後期高齢者医療広域連合 | 後期高齢者医療制度 | 広域連合または市区町村の窓口 |
| ◯◯共済組合 | 共済組合 | その共済組合 |
会社に複数の雇用形態があると、社員によって加入先が違うことがあります。パート・アルバイトで自身が国保に入っている人もいます。一律に同じ様式を配らないでください。
提出先も加入先で違う
- 協会けんぽ … 支部へ郵送。会社経由でも本人からでも可
- 健康保険組合 … 組合へ。会社経由を必須にしている組合がある
- 国民健康保険 … 市区町村の窓口。多くは該当者に申請書が郵送されてくるので、自分から取りに行く必要がないことが多い
- 後期高齢者医療 … 初回に申請すれば、以降は同じ口座に自動で振り込まれる自治体が多い
国保と後期高齢者は「通知が来るのを待つ」形が基本です。ここを知らずに窓口へ行くと二度手間になります。
健康保険組合は「独自の付加給付」があることが多い
健康保険組合には、法律で決まった高額療養費に上乗せする付加給付を設けているところがあります。
- 1か月の自己負担が2万円や2万5千円を超えた分を、組合が独自に払い戻す、といった形
- 多くは申請不要で自動的に振り込まれる
- 金額も条件も組合ごとに違う
付加給付がある組合に加入している社員に「高額療養費の申請書を出してください」と案内すると、不要な手続きをさせることになります。自社の組合に付加給付があるかどうかは、担当者が一度確認しておく価値があります。
限度額適用認定証の様式も別
後から払い戻しを受けるのではなく、窓口での支払いを最初から限度額までにする方法です。こちらの申請書も保険者ごとに様式が違います。
ただし、マイナ保険証を使えば認定証がなくても限度額が適用されます。入院が決まってから認定証の交付を待つより、マイナ保険証で対応できるかを先に確認するほうが早いことが多くなっています。
担当者向け ─ 社内で用意しておくと楽になるもの
- 自社が加入している保険者の名称と、様式のページのURL
- 付加給付の有無と、その内容
- 提出先(会社経由が必須かどうか)
- 申請から振り込みまでの目安期間
- 限度額適用認定証の申請先とマイナ保険証の扱い
この5点をまとめた1枚を作っておくと、社員から聞かれるたびに調べ直さずに済みます。加入先が変わったときだけ更新すれば足ります。
よくある質問
退職した社員から問い合わせが来ました
受診した時点で加入していた保険者に請求します。退職後に受診した分は、退職後に加入した保険(任意継続・国保・家族の被扶養者)の側です。受診日を基準に判断してください。
扶養家族の分も同じ様式ですか
同じ様式で、被保険者が請求します。被扶養者の分をまとめて世帯合算する場合も、請求するのは被保険者です。
様式が古いものを使ってしまいました
返戻されることがあります。ダウンロードは提出のたびに保険者のサイトから取り直すのが確実です。社内に保存した様式を使い回すと、改正のたびに古くなります。
💡 実務で限度額を判定する立場の方へ。2026年8月改正の所得区分・世帯合算・年間上限をまとめた実務チェックガイドを無料で配布しています。
まとめ
- まず保険証の保険者名を見る。協会けんぽ・健保組合・国保・後期高齢者で様式も提出先も違う
- 健保組合は組合ごとに様式が違う。協会けんぽの様式は使えない
- 国保と後期高齢者は通知が来るのを待つのが基本
- 健保組合の付加給付があると、そもそも申請が要らないことがある
- 様式は保存版を使い回さず、提出のたびに取り直す
出典
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」および令和8年8月からの自己負担限度額
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)各種申請書・記入の手引き
- 健康保険法(高額療養費・傷病手当金・時効)
限度額や様式は改正されます。実際の手続きは、加入している健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の窓口で最新の取り扱いをご確認ください。

