75歳到達月の自己負担限度額の特例|誕生月だけ限度額が半分になる仕組みと、対象外になる1日生まれ

高額療養費制度

月の途中で75歳の誕生日を迎えると、その月は誕生日の前は国保や被用者保険、誕生日からは後期高齢者医療と、2つの制度に入ることになります。何もしなければ、それぞれで自己負担限度額まで払い、負担が前の月の2倍になりかねません。

これを防ぐのが「75歳到達月の自己負担限度額の特例」です。この記事は、同じ月に2つの保険者へ請求を分ける医療機関の医事課と、問い合わせを受ける保険者の担当者に向けたものです。

特例がないと、なぜ2倍になるのか

高額療養費の限度額は、加入している制度ごとに1か月単位で当てはめます。誕生月は2つの制度に入るため、それぞれで限度額まで払うと、合計が前の月の2倍になります。特例ができたときの厚生労働省の資料では、限度額44,400円の人が、誕生月だけ44,400円+44,400円=88,800円になる例が示されていました(当時の金額)。

特例の中身

項目 内容
対象 月の途中で75歳の誕生日を迎え、後期高齢者医療の被保険者になる人
対象になる月 75歳の誕生月だけ
内容 誕生日前の医療保険(国保・被用者保険)と、誕生日後の後期高齢者医療の自己負担限度額を、それぞれ本来額の2分の1にする
対象外 1日生まれの人など、誕生月に加入している制度が後期高齢者医療だけの人

2つの制度の限度額を半分ずつにすることで、誕生月の限度額の合計が前の月と同じになります(厚生労働省の資料)。

なぜ1日生まれは対象外か

1日生まれの人は、誕生月の初日から後期高齢者医療の被保険者です。その月に加入している制度は1つだけなので、負担が2倍になる問題が起きません。静岡県後期高齢者医療広域連合も「負担は増加しないため対象外」と説明しています。

計算のしかた

特例は個人ごとに限度額を当てて計算し、残る自己負担については通常の世帯単位で計算します(静岡県後期高齢者医療広域連合)。兵庫県後期高齢者医療広域連合も「世帯単位の自己負担限度額は上の表と同じ」としています。

例(本来額) 誕生日前の制度 誕生日後の後期高齢者医療
個人の限度額 61,500円の区分 30,750円 30,750円
外来(個人ごと)22,000円の区分 11,000円 11,000円

(金額は2026年8月からの70歳以上「一般」区分の本来額を半分にしたもの。実際の区分は、誕生日前の保険者と後期高齢者医療広域連合がそれぞれ判定します)

医療機関の窓口で気をつけること

  • 誕生日から保険者が変わるので、同じ月の診療を誕生日の前後で分けて、それぞれの保険者に請求します
  • 誕生日前の分と誕生日以後の分で、窓口で受け取る上限がそれぞれ半分になります
  • 本人の生年月日が1日かどうかを最初に確認します。1日生まれなら特例は関係ありません

保険者の担当が問い合わせを受けたとき

  • まず誕生日が1日かどうかを確認する。1日生まれなら誕生月は後期高齢者医療だけなので、特例の対象外
  • 誕生日前の分は元の保険者(国保・健保)、誕生日以後の分は後期高齢者医療広域連合の担当になる。どちらか一方だけに問い合わせても、もう一方の分は答えられないことを伝える
  • 世帯で合算する分は通常の世帯単位の限度額で計算するため、家族の受診がある月は、個人の半額の上限だけで判断しない

多数回該当の回数は引き継がれない

多数回該当の回数は、保険者が変わると通算されません(協会けんぽ・兵庫県後期高齢者医療広域連合の案内)。75歳で後期高齢者医療に移った人は、移る前に多数回該当だったとしても、後期高齢者医療では回数を数え直します。

💡 実務で限度額を判定する立場の方へ。2026年8月改正の所得区分・世帯合算・年間上限をまとめた実務チェックガイドを無料で配布しています。

よくある質問

本人が申請しないと特例は受けられませんか

広域連合の案内は、誕生月の限度額を「減額します」「半額になります」と説明しています。高額療養費そのものの申請方法は各保険者の案内に従ってください。

2026年8月の見直しで特例はなくなりましたか

見直し後(2026年7月31日更新)の兵庫県後期高齢者医療広域連合のページでも、75歳の誕生月の特例は案内されています。

後期高齢者医療に移ったあとの手続き全体は高額療養費の様式はどこで手に入るか|協会けんぽ・健保組合・国保・後期高齢者の違いもご覧ください。

取り扱いは加入している保険者(協会けんぽ・健康保険組合・市町村国保・後期高齢者医療広域連合など)によって異なる場合があります。実際の手続きは、各保険者の窓口で最新の取り扱いをご確認ください。

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